正絹上遠州黒サヤ形　利休帽｜利休帽、和装用帽子の専門店「利休工帽 茶人」

黒正絹に浮き立つ紗綾柄の妙味。茶人・小堀遠州が好んだ上遠州裂の正絹利休帽。

遥か大陸からシルクロードを越え、日本に渡ってきた伝統織物「裂地（きれじ）」。舶来品の貴重な裂地は名物裂と呼ばれ、着物や袈裟、能装束、武将たちの衣装、茶道の仕覆（道具類）等に活用されてきました。今や渡来元の中国等でも希少な存在となった裂地ですが、日本では伝統の紋様と風合いを現代まで受け継ぎ、掛け軸や屏風に使用される表装として作り続けられています。

裂地は茶道において茶道具の重要な演出アイテムであり、茶人達は道具に合わせこだわりを持って裂地を選んできました。「茶人帽」の別称を持つ利休帽にこれ程相応しい生地はないと、生地屋さんにお願いして特別に供給していただくこととなり、ようやく実現した作品がご紹介の利休帽です。

採用したのは「上遠州裂」です。江戸時代の茶人かつ造園家であり、千利休、古田織部と続く茶道の本流を受け継いだ茶道遠州流の始祖・小堀遠州が好んだとされています。上遠州裂には様々な文様がありますが、今回は落ち着いた「黒紗綾（サヤ）形」で仕立てました。

紗綾とは、平織りの地に綾織りで文様を織り出した光沢のある絹織物のこと。少し崩した卍（まんじ）形をつづり連ねた模様となっており、不断長久の吉祥文様として愛されてきました。遠目には無地の黒、近くで見ると紗綾柄がうっすらと浮かぶ様は、何とも通好みの粋な演出です。

紗綾ですから、素材は正絹です。今から五千年もの昔、中国で発見されたと言われている絹は、そのしっとりとした光沢、しなやかな肌触りから、時の権力者たちがこぞって愛用していた「生地の王者」とも言うべき素材。光の加減により豊かな表情の変化を見せ、流麗な光沢が紗綾柄をいっそう引き立たせています。

彩りは、格調と礼節を兼ね備えた正絹に相応しく、凛々しく幽玄な黒を採用。黒絹の乱反射により更なる魅力を増した紗綾の味わいを、是非ともご堪能ください。

マジックテープについて

全サイズに国産のマジックテープがついています。
マジックテープは、すべりの内側に付いているため目立たず、帽子の縁が崩れることもありません。